
鉄の馬伝説
店主評価★★☆
自動二輪の起源は19世紀終盤のヨーロッパで開発された。動力は蒸気機関。20世紀に入り手軽で機動性の高いオートバイがヨーロッパやアメリカで発達していった。しかし、同じ動力を持つ二輪車でも文化の違いなのか人種の違いなのか「アメリカン」と「ヨーロピアン」ではその発達のベクトルがずいぶんと違う。
たいした蘊蓄があるわけでもないので極めて主観的な物言いをすれば「ヨーロピアン・バイク」は走るための道具、「アメリカン・バイク」は乗るための道具といえると思う。
より早く、より楽に、より遠くに走るための答えが「空力」「軽量化」「燃費」といった技術であり、形も素材も時代によって最適なものが選ばれていくイメージが「ヨーロピアン・バイク」。形状が常に未来的な形状になっているのが特徴だ。
馬にまたがるような感覚でゆったりと乗るためにひたすら、「大きいこと」が「いいこと」なのが「アメリカン・バイク」。あんまり燃費なんて考えてなさそうだし、大きくて重い分大きなエンジンをつければいいや的な発想。あくまでも馬のかわり(?)だから形状の方向性も時代によってあまり大きな違いは見られない。
もちろんどちらが優れているかなどということは全く見当違いだが、個人的にはもし乗れるものならばひたすら車高が低くてタイヤが極太のアメリカンに乗ってみたい。無駄に大きなエンジンを適度に回して体全体に風を受けながらひたすら広い荒野を走り抜けたらとても楽しいに違いない。バイクと一体化してひたすらスピードを求めるバイクも嫌いじゃないんだけど。
本書はそうした荒野をドコドコ走り抜けてみたい相棒のようなバイクがたくさん乗っている。アメリカンバイクのスピリットは現用車にも残っているが、どうしても大量生産の臭いが強すぎる。それに対しやはりビンテージバイク素晴らしい。クラフトマンが手作業で作った微妙なラインはやはり現在ではとても再現不可能。機能はもちろん今様のバイクには遠く及ばないだろうが、この手のバイクは機能だけじゃないから。
それにしてもどの車体もきちんとメインテナンスがなされてとてもコンディションがよいことに驚く。こうして次世代に過去の遺産を残していくというのもなかなか大変な作業に違いない。ただ乗らないだけではこのようにきれいな状態では残せないだろうから。
リーズナブルなペーパーバックのわりに収録数も写真も及第点。ただ、オートバイを見開きでレイアウトすると肝心のエンジンあたりに本の「のど」にかかって見えなくなってしまっているのが大変残念。本に対して縦置きにするなどレイアウトに気を遣って欲しかった。
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