
LPジャケット今昔物語
店主評価★★
レコードジャケットものは今までも何度か紹介したが、ビジュアルを楽しむ素材としてはとても魅力的だ。思想も宗教も哲学も違う様々な国の様々な音楽が様々な人々をターゲットに同じ版型にデザインされている。「世界標準」をなかなか決められない世の中においてこれ程多くの人々に許容されている「枠」も珍しいのではないだろうか。日々世界中で生み出されては消費されるこれらのデザインを全て収集したらどれほど素晴らしいだろう。好きなモノも嫌いなモノも全て集めて並べたときに何が見えてくるのかとても興味がある。
本書の切り口は特定のデザイナーや音楽ジャンルといった分け方ではなく、時代別にデザイン分類したものだ。1878-1940, 1940-1949, 1950-1959, 1960-1969, 1970-1979, 1980-1989, 1990- の七つの時代に分類し、その当時話題になったアーティストやデザイナーのジャケット(Sleeve Design) を掲載している。
ページ数、収録数(約500点)、装丁、複写のクオリティなど店主が推奨するビジュアル本の要件をを満たす基本的にとても良質な本だがさすがに100年以上の歴史をこの中に収めてしまうのはやはり無理があるようだ。もちろん時代ごとの印刷技術、デザインの流れなど大まかに本書の目指す「雰囲気」を感じることは出来るが何というか「高校の美術の教科書」を眺めているような気になってしまうのは内容的にどこか物足りなさをぬぐえないということだろう。というわけで内容の割に手厳しい評価の二つ星。
しかし、本書のコンセプトを踏襲した「売れる・売れない」は別として大がかりなジャケット大全(数千ページ級)はとても意味あるとおもう。印刷媒体での出版は無理ならばネット上のフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)のような形で電子ライブラリーを構築するのもいいかも。

It's be alright!
店主評価★★☆
レゲエ [Reggae] はジャマイカで作られた音楽だ。スローなテンポに独特の「裏打ち」のリズムが心地よい。ジャマイカの黒人宗教「ラスタファリズム」の影響を強く受け政治や社会問題について歌っているものも多いくそのため、しばしば時の権力と対立することも多くミュージシャンが暗殺事件に巻き込まれることもあった。
本書はこの[Reggae] のアルバムジャケットに焦点をあてたコレクション本だ。コレクション本と言ってもそのバリエーションはあまり多くない。1.「血・太陽・大地」を表す赤・黄・緑のラスタカラーで、2.アーティストや皇帝ハイレ・セラシエの肖像や、3.ガンジャ(大麻)を吸って退廃的な雰囲気や、4.武器・暴力のイメージを、5.カラーコピーのような荒い写真や白黒写真、プリミティブなイラストで表現する。からである。ものの見事にこの5つの要素で様々なジャケットが構成されている。
だが、これ程パターン化されたジャケットであるにもかかわらず視覚的に訴えかけてくるものが多い。多分、抑圧や差別などからの開放という「自由」への激しい思いがこめられているからなのだろう。単純なリズム共々聞き込めば聞き込むほど、見れば見るほど病みつきになる。まるで激しく臭い「豚骨ラーメン」のようだ。魂の奥底を揺さぶる人間の本能に訴えかけてくる。
以前、モルジブに行ったとき観光もせずに激しく照りつける太陽もと椰子の木陰で一日中レゲエを聴いていたことがあるが、やはりこの音楽は暑くて何もしたくなくなるようなところで聞くのが一番だ。寒い冬などは部屋を閉め切り暖房をガンガンにたいて麻のパンツにTシャツ姿で聴いてみる。嫌なことがあっても「大丈夫、何とかなるよ」という気になってくるぞ。ビバ・レゲエ!!

レコードジャケットのルーツを見る。
店主評価★★★
それまでレコードは茶色い紙袋に包まれていた。
1939年、23歳の若手グラフィックデザイナー ALEX STEINWEISS によってはじめてイラストレーションで飾られた「アルバムカバー」が作られた。本書はレコード(今はCDやDVDが主流だが)ジャケットを生み出したアレックスの”仕事”が収められている。
レコードジャケットがメインだが、彼の制作した商業広告も含まれている。50〜60年代にダイナミックでグラフィカルなBLUE NOTEジャケットを手がけた鬼才リード・マイルズとは異なり、まるで絵本を見ているような牧歌的で可愛いタッチのイラストが特徴だ。

ジャズレーベル「ブルーノート」カバーアート集大成続編。
店主評価★☆
前作「BLUE NOTE」とこの「BLUE NOTE 2」が合本されて出版されたのが縮刷版(BLUE NOTE
ALUBUM COVER ART THE ULTIMATE COLLECTION)だ。
1991年に初版が出版された前作はこの手の本にしては大ヒットの5万部を売り上げた。本書は2匹目のどじょうを狙って6年後の1997年に出版されたが、一作目にほとんど良いものを載せてしまったので内容的には少々つらいものがある。一連のブルーノートシリーズの買い方はやはり縮刷版をまず購入し、気に入ったら一作目をアクチュアルサイズ版で手に入れるというのがいいだろう。
ちなみに「BLUE NOTE」「BLUE NOTE 2」の2作はUS版、Chronicle Books社の他にUK版がCollins & Brown社から表紙違いで発売されている。

ジャズレーベル「ブルーノート」カバーアートの集大成。
2002年に出た縮刷版のオリジナル
店主評価★★★
デザイナーがデザインをするときには必ず「デザインする対象物がどのような大きさなのか」ということを考慮する。大きさによって見る位置(対象物と目との距離)が違うからである。そうしたことを考えるとオリジナル「BLUE NOTE」は版型が300mmX300mmとレコードジャケットと同じ大きさなのでデザイナーの意図が縮刷版に比べより明確に伝わってくる。
独特の色使い、大胆な写真のトリミング、ダイナミックなタイポグラフィ表現など原寸だからこそ分かる迫力は一見の価値がある。本当に好きな人はこちらを手に入れることを勧めたい。

ジャズレーベル「ブルーノート」のカバーアートの集大成。
店主評価★★★★★
1991年にクロニクルブック社から発売された「BLUE NOTE」、1997年発売の「BLUE NOTE 2」を一冊にまとめた縮刷版ブルーノートレーベルのカバーアート集。
なんと言っても50年代から60年代のほとんどの作品を手がけたアートディレクター「リード・マイルズ」のあふれるアイディアと表現力が圧巻だ。コンピューターによるデザインが主流の現代においてもそのビジュアルは全く色褪せることはない。まさに見て楽しいビジュアル本のお手本といえる。
価格も本の大きさにほぼ比例して、前作vol.,1vol.2をあわせた値段の約1/3程度(だったと思う)と全編カラーページであることを考えるとかなりお手頃。しいて難をいえば、表紙が「リード・マイルズ」テイストとはほど遠いチープなデザインであることだ。
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