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豚に真珠を ~ Give Pearls to a Swine.
外国語に精通していない店主が見ていて楽しいビジュアル系洋書の紹介。
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■ Industrial Design A-Z
2007年01月09日 (火) 10:35 * 編集
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丸ごとインダストリアルデザイン。
店主評価★★★

世界の工業製品メーカー、工業デザイナーをアルファベット別にまとめた「工業製品百科事典」。

家電、精密機器、自動車から兵器まで幅広く網羅している。各メーカーの簡単な歴史と代表的な作品(=製品)を写真で綴る。写真、図版よりも文字の分量のほうが多いため、ビジュアル本としての魅力には若干欠けるものの、全768ページに含まれる内容は多岐にわたり飽きることはない。

あらためて工業デザインの歴史を振り返ってみると、色あせないデザインというのは「余計なものをいかに削っていくか」に尽きることがよくわかる。ともするとデザインとはデザイナーのアイディアや個性を加えていく<+(プラス)の行為>と思ってしまいがちだが、むしろ様々な要素を整理・整頓し、無駄を省く<-(マイナス)の行為>が大切だ。その要素を選び出すセンス、余計なものを見切る才覚こそがデザイナーの才能なのだろう。

夏目漱石の「夢十夜」という短編集の中に確かこのようなはなしがあった。

仏師運慶が仁王を彫っているというので主人公が見に行くと運慶は迷うことなくノミと槌で彫っている。周りに群がる見物人の話しなど一向に気にする風もなく大胆にノミををふるう。すると見る見る迫力ある仁王の顔が彫り上げられていく。 主人公が感心して「よくあれほどまで無造作にノミを振るって思った通りの造作が出来るものだ」とひとりごとをいうと、近くにいた男が「あれはノミで作っているのではない。元々木の中に埋まっている形を掘り起こしているだけだ、槌の中から石を出すようなものなのだから間違うはずがない」という…。

デザインの究極もこうしたものではないか?

そうそう、この話にはオチがあって、

「なるほど彫刻とはそう言うものなのか」と思った主人公が家に帰ってそこいらに転がっていた木をノミと金槌を使って彫るのだが、その中には仁王さまは入っていなかった…。  

木が悪かったのかそれとも主人公にその才がなかったのか、いずれにせよ誰もがいつでもその境地に達することが出来るわけではないらしい。
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