
たまには日本語の本も
店主評価★★★★
<デザイン・美術書を購入する = 洋書売り場に行く>という構図ができあがっているため、なかなかこうした分野の邦書を購入する機会が少なく、いきおい洋書の紹介ブログとなっている側面がある。
日本語のデザイン分野の本でも丹念に探すとおもしろい本が結構見つかる。そのわりになぜだかあまり買おうという気にならない。出会い頭に思わず買ってしまう洋書に比べ邦書の場合購入を決断することへのボーダーが高い。
久々にこの高いボーダーを超えて店主の琴線にふれた邦書のご紹介。「マッチで旅するヨーロッパ」。著者が収集したヨーロッパのマッチラベルコレクションで、曰く40-50年前のものを中心に800点ほどのラベルが収録されている。
製造国や製造年がはっきりしないものが多く、時系列的な意味での資料にはならないかもしれないが、著者のフィルターを通したビジュアルが揃えられており、闇雲にラベルを集めた「ごった煮」的な乱雑さがないところに好感が持てる。
カテゴリー分けも「食べ物」「動物」「乗り物」などそれなりに検索もしやすい。写真、レイアウトなども及第点。値段も2200円/フルカラー200ページというボリュームから考えるとリーズナブルなのもうれしい。
日本語なので内容が安心して読める反面、欧米系デザインのキャプションに日本語があることへの違和感が残る。これはあくまでも個人的感想だが、この個人的嗜好が和ものデザイン本購入のボーダーを高くしているのかもしれない。
2007/05/14(月) 22:03:48| Collection|
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イジワルな心とカワイイ心と
店主評価★★★☆
ナイトメア・ビフォア・クリスマスで有名なティム・バートンが描く挿絵付きショートストーリー集。
ティム・バートンらしいシニカルな内容(もっとも全て読み切れているわけではないので本当のところは判らないが)だ。例えば「棒君マッチさんの恋」では棒君がマッチさんに恋をして二人の恋が燃え上がるかと思ったらあっという間に棒君があっという間に燃えてしまった…。(以上適当訳)
もっともこの話だけ見ているといわゆる良くありがちなショートストーリーだがそこはティム・バートン。挿絵、特に登場するキャラクター達が素晴らしい。中には少々残酷でグロテスクなキャラクターも彼の手にかかると何となく可愛く見えてしまう。それでいてその奥に潜む狂気というかイジワルさも失っていない。
可愛いんだけどリアル、リアルだけど気持ち悪くない、気持ち悪くないんだけどイジワル。色々な見え方をする分、何度見ても飽きない本の部類に入るのではないんだろうか。
ちなみに日本語訳の本もでている。ただし、そちらの方は実物を見ていないので何とも言えないが、写真を見る限りは本書の方が数段良いのではないかと思う。書いてある内容がわかるという意味で訳本は価値があるが、本としての完成度がオリジナルに到底及ばないのは当たり前の話。
街でふと見かけたら立ち読みしようと思うけれど、実はつたない英語力で誤解しながら雰囲気だけ読むのもこの本に限っては良いことだったりして。
2007/04/17(火) 10:33:35| Art|
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手タレの手キレイ。
店主評価★☆
何の気なしにテレビをつけてみるとネイルケアの番組をやっていた。ネイルケア学校の学校長が素人の女性にネイルケアのレクチャーをするというもの。
この女性、年の頃40前後だろうか適度に爪を伸ばし形も整えているところを見るとそこそこ「ネイルケア」には興味を持っている風。しかし手のアップを見るとどこかおかしい。その「どこかおかしい」あたりを学校長がわかりやすく実践しながらネイルケアのなんたるかを説いていく。
なるほど、興味を持っているとはいえ相手は素人。プロとして「当たり前」のことをしていくだけで随分と見違える姿に変わっていくのがオモシロイ。
そう言えばネイルケアの本があったはず。と書棚を探すとやっぱりあった。内容を見てみるとネイルケア専門というよりもハンドケア全般を浅く広く扱った有閑マダム向けの教化本といった趣。
前述のテレビ番組のすぐあとに見たせいかビジュアルと言うよりは内容の方に興味そそられそれなりに楽しめた。しかし、ビジュアル本としては料理本やインテリア本、ガーデニング本にありがちなイメージ優先のレイアウトで写真などは綺麗だがデザイン的な面白味に欠ける。ページ数も少なめ。
1998年の本で多分手のイラストの参考に買ったものと思われるが、最近はデコラティブなつけ爪をしている人も多く見かける。100円ショップにも大々的に爪のコーナーが設けられているなど、ネイルものがどんどん面白くなりそうな予感。今度は手の参考といわず綺麗な爪がコレクションされている本があったら是非購入したい。
2007/02/05(月) 16:05:00| photograph|
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it's カワイイ系
店主評価★★★☆
ライアン・ヒューズ (Rian Hughes)はイギリスのグラフィックデザイナーでありコミック・アーティストだ。彼のデザインは独特のレトロタッチキャラクターなしには語れない。
キャラものというと、一部の愛好家を対象としたデザインになってしまいがちだが、形と色を生かした「切り絵的」な雰囲気のイラストは漫画的ではあるもののとてもシャープな印象だ。
レトロでありながら今様の雰囲気がきちんと描かれているのはデザイナーの力量であろう。もちろんコンピューターを使ったデザインだが、ちまたにありがちなコンピューターによって作らされたデザインではなくコンピューターを道具として自分の世界がきちんと表現されている。
線の形状や形の扱い方など成り行き任せではないきちんと「計算された」作業なのだろう。という雰囲気が紙面からヒシヒシと伝わってくる。
本自体の出来も「どーだぁー」的な派手さはないのだが、紙質や紙色を変えたり特色インクを使ったりと全てのページに神経が行き届いている。おまけ(?)として本文中に紹介されているフォントのデータなどが入ったCD−ROMが同梱されている。決して安い本ではないが満足度の高い一冊だ。
2007/02/05(月) 00:00:00| Graphic Design|
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鉄の馬伝説
店主評価★★☆
自動二輪の起源は19世紀終盤のヨーロッパで開発された。動力は蒸気機関。20世紀に入り手軽で機動性の高いオートバイがヨーロッパやアメリカで発達していった。しかし、同じ動力を持つ二輪車でも文化の違いなのか人種の違いなのか「アメリカン」と「ヨーロピアン」ではその発達のベクトルがずいぶんと違う。
たいした蘊蓄があるわけでもないので極めて主観的な物言いをすれば「ヨーロピアン・バイク」は走るための道具、「アメリカン・バイク」は乗るための道具といえると思う。
より早く、より楽に、より遠くに走るための答えが「空力」「軽量化」「燃費」といった技術であり、形も素材も時代によって最適なものが選ばれていくイメージが「ヨーロピアン・バイク」。形状が常に未来的な形状になっているのが特徴だ。
馬にまたがるような感覚でゆったりと乗るためにひたすら、「大きいこと」が「いいこと」なのが「アメリカン・バイク」。あんまり燃費なんて考えてなさそうだし、大きくて重い分大きなエンジンをつければいいや的な発想。あくまでも馬のかわり(?)だから形状の方向性も時代によってあまり大きな違いは見られない。
もちろんどちらが優れているかなどということは全く見当違いだが、個人的にはもし乗れるものならばひたすら車高が低くてタイヤが極太のアメリカンに乗ってみたい。無駄に大きなエンジンを適度に回して体全体に風を受けながらひたすら広い荒野を走り抜けたらとても楽しいに違いない。バイクと一体化してひたすらスピードを求めるバイクも嫌いじゃないんだけど。
本書はそうした荒野をドコドコ走り抜けてみたい相棒のようなバイクがたくさん乗っている。アメリカンバイクのスピリットは現用車にも残っているが、どうしても大量生産の臭いが強すぎる。それに対しやはりビンテージバイク素晴らしい。クラフトマンが手作業で作った微妙なラインはやはり現在ではとても再現不可能。機能はもちろん今様のバイクには遠く及ばないだろうが、この手のバイクは機能だけじゃないから。
それにしてもどの車体もきちんとメインテナンスがなされてとてもコンディションがよいことに驚く。こうして次世代に過去の遺産を残していくというのもなかなか大変な作業に違いない。ただ乗らないだけではこのようにきれいな状態では残せないだろうから。
リーズナブルなペーパーバックのわりに収録数も写真も及第点。ただ、オートバイを見開きでレイアウトすると肝心のエンジンあたりに本の「のど」にかかって見えなくなってしまっているのが大変残念。本に対して縦置きにするなどレイアウトに気を遣って欲しかった。
2007/01/30(火) 17:54:14| Collection|
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♪ This is HALLOWEEN ♪ This is HALLOWEEN ♪
店主評価★★★
1993年に公開されて以来13年、依然根強い人気を誇るファンタジーホラー映画『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』。
怖いことや驚かせることが大好きな住人達の街「ハロウィンタウン」に住むカボチャの王様ジャック・スケリントンが偶然色鮮やかで明るく楽しい世界「クリスマスタウン」を見つけることによって繰り広げられるおかしくも可愛く心温まる「クリスマス」の物語だ。
公開当時すでに熱烈なナイトメア・ファンはいたわけだが、未だに新たなるファンを増やし続けており、カリスマ性の高い映画といえるだろう。
これだけの人気テーマなら普通『トイストーリー』や『シュレック』などのように第二弾第三弾を打ち出しそうなものだが、どういったわけか続きのないまま現在に至っている。むしろ続編が出ないことがファンの「もっと観たい」感を刺激し続け根強い人気に繋がっているのかもしれない。
しかし、何といってもこの映画の魅力は原案・制作を手がける奇才ティム・バートンの世界観と言っていい。個性豊かなキャラクター、独特の歪みを持つ空間や建造物。木肌を感じさせるテクスチャーと螺旋など、彼独特のイメージが観るものをグイーッと異空間に引き込んでくれる。
本書は映画のメイキング本という位置ではあるが、実はティム・バートンの世界観を生で触れることの出来るナイトメア・ファンにはたまらない一冊といえる。
彼自身によるアイディアスケッチが叙情的で魅力にあふれているのはもちろんだが、スケッチの段階でかなり完成に近いイメージを持っていたことに驚いた。普通は平面から立体にするに当たって色々とイメージが変わっていく場合が多いのだが、キャラクターやシーン展開などかなり彼自身によるスケッチのイメージが踏襲されているのが見て取れる。
もちろんストップモーション・アニメーションやキャラクターの制作風景、キャラクター設定、絵コンテなども多く収録されているが、個人的にはティム・バートン自身のスケッチをもっと多く扱って欲しかった。
2002年刊だが、二年後の2004年には日本語版も出版されている。少々お高いが、英語の苦手なナイトメア・ファンはこちらも買うとよいだろう。表紙に「ティム・バートン ナイトメアー・ビフォア・クリスマス メイキングブック」って思いっきり大きく書いてあって格好悪いけど…。
2007/01/22(月) 00:54:59| Art|
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おお、官能小説。
店主評価★★☆
私が洋書を購入する動機は以下の二つ。
1.仕事上必要に迫られる。
2.面白そうなものが安い。
1が動機の場合、「必要があれば」または「欲しいと思えば」多少高くても買うようにしている。 もちろんこうした本は見る機会も多いし、仕事でも有効に利用される、ある意味「元が取れる」本といえる。
2が動機の場合、バーゲンという甘美な響きの空間において<おつむ>も<お財布>もゆるめ状態で無目的に「面白そう」という曖昧な感覚を頼りに買いあさる。この場合「無目的」というのが問題で、すぐさま必要とされている情報ではないため、それ程見る機会も少なく、いわんや仕事上直接的に利用されるなどということはない。
なぜ、本の紹介にこのようなことを書くのかと言えば、今回の本が余りに「2」の動機に合致した極端な例だったからだ。見る機会が少ない、どころか一度も中身を見た記憶がない(もちろん購入する時にはパラパラっと見たはずだが)表紙さえも見覚えがない。なぜ買ったのか判らない。普段は丁寧に剥がす値札もそのままだったから、家に帰ってから一度も内容を見ていないに違いない。
しかし改めてよく見ると、タイトル < The Look of Love > (愛の姿)からして怪しいこの本、なかなかにオモシロイ。いわゆる恋愛小説のブックカバーコレクションだ。こういう本のあるべきスタイルというのはよくわからないが、思わせぶりな男と女が描かれた表紙がズラーッと並ぶ。
本の内容を一枚の絵に再現するなどと言うことは難しいと思うのだが、様々なイラストレーターが様々な方法でより多くの情報を表紙に封じ込めるべく健闘している姿に感服する。恋愛小説専門画家なのか、描き慣れ感がスゴイ。
また、集めた表紙のカテゴライズがイカしてる。以下参照
happily ever after / あれからずっと幸せ
passions aflame / 燃えさかる情熱
woman on her way / 自分のやり方を通す女
bad girls & good girls / 悪女と良女
loves of a nurse / 看護婦の恋人
hometown doctor / 故郷の医師
time passages / 移りゆく時
exotic encounters / エキゾチックな遭遇
英語は全く不自由なので勝手につけた訳があっているのか保証はないが、「看護婦さん」とか「お医者さん」とか「悪女」とかって言うのがロマンの対象になっているあたり、時代の新旧を問わない普遍的な欲望の系譜みたいなものが見えてきて楽しい。
それにしても恋に盲目になると男も女も眼が三白眼(白目が左右と下の三カ所に出る)になるものなのね…、なるほど。
まだ日の目を見ない本もまだまだありそうだから、これを機会に書棚の整理を頻繁にしよう。
2007/01/16(火) 08:27:24| Art|
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